千代田区観光協会|観光プロモーション支援
CHALLENGE
OUTCOME
江戸の出版人・蔦屋重三郎を描くNHK大河ドラマの放映を契機に、千代田区では出版文化の中心地としての歴史を観光資源として発信するプロモーションが求められた。一般的にはゆかりの地を巡るツアーやイベントなど、過去を起点とした施策が定石だが、本プロジェクトでは発想を転換。
過去にさかのぼるのではなく、蔦屋重三郎の洞察力や視点で現代を捉え直し、新鮮な魅力を伝えることを提案。もし彼が現代に転生したなら、神保町の古書店街や出版社、秋葉原のカルチャーエリアなどを擁する千代田区にこそ注目するはずだという着想から、彼の視点で現代の街を紹介するカルチャーマガジン『千代田細見』を企画し、AI蔦屋重三郎を携え、街を巡りながら文化を体験する観光メディアとして発信した。
プロジェクトの中心となったのが、カルチャーマガジン『千代田細見』の発刊である。
蔦屋重三郎に関する文献や作品、人物像・思想をもとにAIを学習・開発し、「AI蔦屋重三郎」を編集長として設定。AIの開発にあたっては、NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」をはじめ、数多くの作品で時代考証を手がける歴史作家・時代考証家の山村竜也氏が監修を務めた。こうして構築したAI蔦屋重三郎を編集長に据え、「もしも蔦屋重三郎が令和に転生したら」という発想から、千代田区の文化や街の魅力を紹介するマガジンを制作した。表紙には、漫画家・現代美術家のしりあがり寿氏による日本初公開のパロディ浮世絵を起用し、誌面の世界観を象徴するビジュアルとして展開した。
マガジンは全3号で構成され、第1号では神保町(2025年5月発行)、第2号では秋葉原(同年8月)を特集。最終号となる第3号(同年12月)では「未来」をテーマに据えた。江戸時代に出版文化が花開いた神保町から、ポップカルチャーが集積する秋葉原、そしてこれからの都市文化へ。3つの号を通して、千代田区に連なる文化の広がりを描く構成となっている。
大河ドラマ出演者や注目の芸人なども起用し、神保町や秋葉原を中心に約60箇所の文化スポットを取材・掲載。各号5,000部を発行し、好評につき2,000部を増刷、合計17,000部を発行した。








誌面の制作は、人間の編集者による取材とAIによる文章生成を組み合わせて進めた。
編集者はまず、AI蔦屋重三郎と対話しながら、取材前の質問設計を行う。編集者の画面上ではチャット形式でAIとやり取りを行い、質問内容はAIによって解析・整理される。こうして構造化された問いをもとに、各取材先で現地取材を実施した。
取材後は、得られた素材をAI蔦屋重三郎にインプットし、再度対話を重ねながら記事を生成。文章は単なる要約ではなく、蔦屋重三郎の視点や語り口を反映した形で出力される。掲載する原稿は、編集長であるAI蔦屋重三郎が生成した内容を基本的にそのまま使用している。
こうしたアウトプットを成立させるために、開発段階では蔦屋重三郎の人物像や思考様式を精緻に設計。文献のデジタル化やテキストデータの校正を行いながら、史実に基づく知識とキャラクター性のバランスを調整した。編集部は事実関係の確認や誌面構成の調整を担いながら、AIが提示する視点を最大限活かす形で編集を行った。


『千代田細見』は、誌面での情報発信にとどまらず、実際に街を巡る体験へとつながる仕組みとして展開した。誌面の内容は千代田区観光協会のSNSでもコンテンツ展開し、デジタル上の接点を補完的に創出。加えて、秋葉原UDXビジョンでの屋外掲出も行い、街の中でも情報に触れる機会をつくった。
スタンプラリーもデジタルではなく実際に押印する形式を採用し、神保町や秋葉原など区内の文化拠点を横断的に回遊できる導線を構築。読者が実際に街を歩きながら、書店やカルチャースポット、文化施設を訪れる体験を生み出した。
また、表紙に起用したしりあがり寿氏による描き下ろし作品を含むパロディ浮世絵を用いて、Tシャツやポストカードなどのグッズも展開。体験を手に取れる形で持ち帰ることができる構成とした。
AIによる編集、紙のマガジン、回遊体験、そしてデジタルメディアによる情報発信を横断的に組み合わせることで、複数のメディアをカバーしながら、都市に点在する文化を一つのストーリーとして編集する観光プロモーションを実現した。
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プロダクションマネジメント
AI蔦屋重三郎
編集長山村竜也
プロジェクト監修株式会社コネル
AI開発ディレクションsync.dev
AI開発実装片桐絵都
編集上野功平
編集田中裕子
編集綿貫大介
編集中尾志穂子
校正・編集村尾雄太
アートディレクション・デザインしりあがり寿
表紙イラスト株式会社noll
アイコンデザインきるけ。
撮影関口佳代
撮影林直幸
撮影島崎隆次
撮影ヨシダショーヘイ
撮影隼田大輔
撮影東洋美術印刷株式会社
印刷株式会社 アイ・アイ・ビー
スタンプラリー協力