長野市|行政と地域プレーヤーで作り上げる新しい都市ブランディングのかたち
CHALLENGE
OUTCOME
2022年に都市ブランドの確立に向けたPR活動を本格スタートした長野市。未来にわたって選ばれる都市になるため、都市全体の魅力や価値を都市ブランドとして作り上げることが必要と定義。これからの長野をつくるプレーヤーとともに、長野のブランド要素を導き出し、「自分らしい生き方・暮らし方を選択し実現できる」というまちの姿を込めたタグラインとブランドデザインを発表した。現在は、 長野に関わる全ての人たちに長野市への愛着や誇りを持ち、新しいことに挑戦できる期待感が高まるまちを目指す取り組みの展開を推進している。
長野市が魅力的な都市・選ばれる都市ブランドの確立を掲げる本プロジェクト。その背景には、急速に進む少子高齢化の流れを前に、大々的なPRをメインとした従来のプロモーションとは異なる考え方やアプローチで、その都市ならではのブランドを立ち上げる必要がありました。
提案時にニューピースが打ち出したのは、ブランディングに対する新しいプロセスと体制でした。
未来にわたり愛されるブランドになるべく、長野市民や地域を担うステークホルダーらと共につくる進め方を採用。行政と政治双方に高い知見を有する自治体専門チームが、市民のみならず市長を筆頭に市役所を巻き込みながら、強力なブランドコンセプトをまとめ上げ実現を推進するという万全の体制で、都市ブランドを生み出す新たな試みがスタートしました。
長野市の本質的な価値を映し出すコンセプトを探り当てるべく、市民から広く意見を募りました。
市の公式LINEアカウントではアンケートを実施。長野市から連想する色や長野市の「性格」、他県に勧めたい長野市の魅力について、約2100人を超える市民の声を集めました。
同時に長野市のまちづくりを担うキーパーソンをリストアップし、個別ヒアリングやワークショップを開催。特に30〜40代の若い世代にアプローチし、場を作ることで、新しい風を吹き込む人材の参加を促しました。
市民との対話を重ね、長野市の持つ価値を5つに整理しました。長野市がもつ3つの不変的価値「自然との調和」「人の営みへの敬意」「良質なアクセス」と、その価値を土台に、長野市で実現できる生き方を表す「自分らしく自然体で生きる」「安心して挑戦できる」という2つの実現価値です。
都市ブランドのアウトプットとして、長野市のブランドメッセージとデザイン、PR戦略を策定。デザインはロゴマークのような象徴に収束させず、あえて色とりどりの曲線を組み合わせた柄を採用。名刺、封筒、職員の名札など、様々な媒体への応用が容易になり、広がりがありながらも統一感のあるブランディングを実現しました。
長野市出身者のアートディレクター・デザイナーを起用し制作
長野市の5つの価値を表現した、コンセプトムービー
都市ブランドデザインをプリントした手ぬぐい
市民から高い反響を呼んだ新たな都市ブランドを発展させるべく、現在はデザインガイドラインに基づいたデザイン活用の推進と事例創出による横展開を促進しています。
今後は、地域プレイヤーや地元企業との連携を進め、行政だけでなく、市民一人ひとりが都市ブランドの担い手となることを目指します。
2024年度には、地元の事業者やクリエイター、教育機関を巻き込んだ企画を推進。市内にセレクトショップを展開する事業者と長野市の連携協定締結に向けた伴走や店内の観光PRブースの設置、市内の若手クリエイターを集めたアイデアピッチイベントの開催、市内の教育機関とコラボレーションした授業の開催など、世代や立場を超えた共創が広がりはじめています。
都市ブランドデザインと戦略の発表会見
FREAK’S STORE長野店に、お客様とのコミュニケーションツールとして長野の魅力を発信する本棚を設置
「コラージュナガノ」
長野美術専門学校とコラボレーションした授業の一環として、アート展に向けた作品を制作。学生の身近な日常風景を写真に撮り、全部で600枚もの写真を集め、長野市の「都市ブランドデザイン」を表現
従来の行政主導のブランディングとは一線を画した、多様な市民の声を取り入れつつ、新しい世代の感性を活かした都市ブランドの創出の挑戦。これからもニューピースは、2040年に向けて、長野市に関わるすべての人が誇りと愛着を持てるまちづくりを支援していきます。
増澤 諒
Creative Director/Producerプロジェクト全体の設計をはじめ、ブランディングの戦略策定から、クリエイティブのディレクションまでを担当。
羽賀 瑛優咲
Project Managerプロジェクトマネジメントを担当。