茨城県牛久市| 移住・定住促進に向けた地域ブランド戦略
CHALLENGE
OUTCOME
人口減少や自治体間競争が進むなか、まちの魅力は、制度や利便性だけでは差別化しにくくなっている。自然環境、交通利便性、子育て支援など、暮らしやすさを支える条件は、多くの自治体が備えつつある。
茨城県牛久市も、首都圏近郊の住宅都市として、自然環境、生活利便性、住宅価格の手頃さなど、日々の暮らしを支える基盤を持つまちである。一方で、つくばエリアや龍ケ崎市などの近隣自治体でも、子育て支援や住宅開発は進んでおり、条件面だけで牛久市ならではの価値を伝えることは難しくなっていた。
NEWPEACEは、牛久市がこれまで培ってきた自然環境、生活基盤、地域行事、子育て施策を「親子」という視点から再編集。単なる広報やプロモーションにとどまらず、市政全体の判断軸としても活用できるブランド戦略として、「親子特区!!うしく」を策定した。
牛久市は、自然や公園の豊かさ、東京・つくば方面へのアクセス、生活コストの適正さなど、暮らしを支える基盤を持つまちである。
一方で、こうした魅力は牛久市だけのものではない。近隣自治体でも、子育て支援や住宅開発、教育環境の整備は進んでおり、「便利」「安い」「住みやすい」といった条件だけでは、まちの独自性は伝わりにくくなっている。
NEWPEACEは、ブランド戦略策定に向けた検討とアンケート調査を通じて、牛久市の強みと課題を整理。調査では、「自然や公園が豊富」「住宅価格・家賃が手頃」「買い物や生活の利便性が高い」といった評価が見られた一方で、「子育てがしやすい」「行政サービスが充実している」といった認知は十分には形成されていなかった。
牛久市には、暮らしやすさの実態がある。
しかし、それを“選ばれる理由”として伝えていくためには、まちの価値をより明確な軸で言語化する必要があった。
そこで着目したのが、「親子」という軸。
一般的に、子育て施策は「親向け」または「子ども向け」として語られることが多い。経済的支援、保育、教育、遊び場、相談窓口。それぞれの施策は重要である一方、個別に発信するだけでは、まち全体としての考え方は伝わりにくい。
牛久市には、親子で過ごせる自然や公園、落ち着いた住宅環境、地域に根づいた行事、生活の安定を支える都市機能がある。これらを個別の魅力として並べるのではなく、「親子の時間を育むまち」として再構成することで、牛久市ならではの価値を整理していった。
策定したブランドコンセプトは、「親子がともに育ち合えるまち」。
親が子を育てるだけではなく、親もまた子との時間のなかで育ち、地域もその関係性を支えていく。そんな“共育”の考え方を、牛久市のまちづくりの中心に据えた。

「親向け」「子ども向け」の施策をつなぎ、「親子」向け施策として独自ポジションを整理。
ブランドメッセージとして掲げたのは、「親子特区!!うしく」。
ここでいう「親子特区」は、制度上の特区を意味するものではない。牛久市が、親子をまちの中心に据え、親と子がともに育ち合える環境をまち全体でつくっていくという姿勢を示す言葉である。
「子育てしやすいまち」という一般的な表現にとどめず、「親子特区!!」という言葉で表現することで、牛久市が目指す方向性を、より印象的に伝えることを目指した。

「親子特区!!うしく」の考え方を説明する、市長・沼田和利氏
シンボルデザインでは、「怪獣の親子」をモチーフに採用。人間の姿に限定しないことで、特定の家族像に依存せず、多様な親子のあり方を包み込む表現を目指した。親子の日常にある驚きや発見、楽しさを「!」のモチーフと重ね、親しみやすく、記憶に残るブランド表現として設計した。
行政の考え方を、市民や地域が使いやすい言葉とビジュアルに変換することで、「親子特区!!うしく」を、まちの姿勢を市役所の内外に共有していくためのブランド表現として整理した。
発表後には、市民から「『親子特区』という言葉を作ってくれてありがとう」「子どもだけでなく、親だけでなく、どちらも幸せにしたいという意味が込められているようで嬉しい」といった声も寄せられた。

「怪獣の親子」をモチーフに、親子の多様なあり方を表現したキービジュアル
今回の戦略では、ブランドをロゴやメッセージにとどめず、市政全体の判断軸として機能させることを重視した。
「親子のためになっているか」。
この視点を、施策の企画、情報発信、場づくり、市民参加、市役所内の連携のなかに組み込んでいく。その第一歩として、牛久市は「親子のため課」を新設。親子をまちづくりの中心に据える姿勢を、行政体制としても明確に打ち出した。
具体的な施策としては、市民の声を集める「親子みらいポスト」、親子向けの場や体験を広げる「親子ひろばプロジェクト」、日本初の本格的ワイン醸造場として知られる牛久シャトーと連携し、新たに親子となった家族へ特製ラベルのワインやぶどうジュースを贈る「親子のはじまり お祝いボトルプロジェクト」などを構想した。
また、地域の事業者や牛久自然観察の森などの施設とも連携し、親子で参加できるイベントやプログラムを展開。プロモーションツールにもシンボルである「親子怪獣」を一貫して用いることで、市民がまちの中で何度もブランドに触れられる状態をつくっていった。
こうした体制、施策、発信を通じて、「親子特区!!うしく」が市役所の中だけでなく、地域の事業者や施設、市民それぞれの場面へと少しずつ広がっていくことを見据えている。

親子となった家族へ、特製ラベルのワインやぶどうジュースを贈る「親子のはじまりお祝いボトルプロジェクト」


お披露目の場では、参加家族に特製ラベルのボトルが手渡された

親子の声を集め、まちづくりに生かしていく「親子みらいポスト」

牛久駅前のバスロータリーに掲出された「親子特区!!うしく」ののぼり

地域の事業者とのコラボレーションイベントで展開した塗り絵

市民イベントへの出展を通じて、「親子特区!!うしく」を身近に感じてもらう場をつくる親子のため課
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高木新平
Vision Making
ユリ・アボ
Brand Direction
枝窪 美波
Project Management
中島いずみ
Producer神岡 真拓(ひとりごこち Inc.)
Art Direction / Design武藤 亜里紗(ひとりごこち Inc.)
Design矢野 仁穂(ひとりごこち Inc.)
Edit佐井 有香(株式会社プラチナム)
PR蟹江 奈々華(株式会社プラチナム)
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