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海外SaaSカスタマーコミュニティ紹介 | Figmaの成長の裏にはコミュニティがあった?

シアトルのSaaS 市場データ調査企業Peer Signa社の調べでは、2023年1月グローバルB2B SaaSクラウド事業者100社のうち、58 社がブランドのコミュニティを持っているという結果が出ています。コミュニティ主導の成長が、今やSaaSビジネスでは必須となってきています。

 

しかし大多数のSaaSのコミュニティは、正直なところサポート指向となっており、コミュニティを持つ意味が浸透していないケースが多くみられます。ブランドがユーザーに熱狂的に支持され、ユーザーが誇りを持って製品/サービスについて話す場を作っていくにはどうしたら良いのでしょうか?

 

今日はそんな海外のSaaSカスタマーコミュニティ事例を紹介します。

 

海外SaaSカスタマーコミュニティ3事例の紹介

まずは海外で成功していると言われるSaaSのコミュニティを3件、ご紹介します。

 

セールスフォース

マーケティングオートメーションや顧客管理クラウドシステムを提供する世界のリード企業セールスフォース。B2B SaaSの分野で参照されている大規模なコミュニティの 1 つとして、同社が保有するTraibrazer(日本語で「先駆者」という意味)コミュニティがあります。
そこでは、営業マーケティングやカスタマー サクセスの管理者、開発者や利用者を対象とし、世界中のユーザーが製品を学習し、そして意見を交わしています。

 

https://trailhead.salesforce.com/en/trailblazercommunity

 

このコミュニティは、実際の仕事やキャリアパスに結び付く継続学習を、オンラインと対面によるグループ学習ができるコミュニティです。トピックを選択して特定のテーマでグループディスカッションも可能です。また、リアルでのイベントを企画したり、会員限定のニュースレターやユーザー アカデミーを提供している点でも活発に使われています。

 

Notion

Notion はカスタマイズ可能なナレッジマネジメントのソフトウェアを提供しています。すべてのチームメンバーが常に最新情報を把握できるように設計されており、これにより、デジタルオフィスを一元化し、全てのプロジェクト/議題/文書/業務を 1 か所で見つけることを可能にし、メンバーへの伝達を確実にしています。

 

https://www.notion.so/Notion-Community-04f306fbf59a413fae15f42e2a1ab029

 

Notion のコミュニティでは、ユーザーがコミュニティをどのように運営するかを決定できます。Notion側は当初からコミュニティメンバーと緊密に連携し、それに沿ったコミュニティ主導の多様なテンプレートやツールを提供して、メンバーの帰属意識を高めてきました。アンバサダー就任や対面イベントの支援なども取り入れ、優れた製品を構築し、ユーザーがマーケティング活動の大部分を推進する可能性があることを実証しました。

 

 

Figma

Figmaは、ネット環境下にある全てのユーザーが、高度なデザインにアクセスできるようにするために作成された、共同作業も可能なWebベースのデザインプログラムです。大規模で活発なオンラインフォーラムを持ち、グローバルでのユーザーグループとイベント開催があります。

 

Figmaコミュニティには、Figmaのユーザーが作成した多くの素材が集まっています。ワイヤーフレーム、アイコン、描写、UIキット、プラグインなど、Figmaコミュニティでユーザーが提供した、多くのリソースをメンバーは使用することができ、それは日々進化していきます。

 

これらは海外で有名なSaaSのコミュニティ事例ですが、現実ではほとんどのSaaSコミュニティでは、ユーザーとのやり取りが見られない場合も多くあります。2022年9月LinkedInの「40以上のSaaSコミュニティを分析して学んだこと」という記事では、

 

「これらのSaaSコミュニティを訪問したとき、最も印象に残ったのは、ユーザーのアクティビティがいかに少ないかということでした。大多数のコミュニティ上では、人々はほとんど交流していません。通常、製品サポート(「パスワードを忘れてしまったのですが、どうすればいいですか?」など)以外のトピックについて、議論する人はほとんどいません。

そしてそれは大規模なSaaS企業にも当てはまります。コミュニティで活動を生み出すのに苦労しているのは、強力なブランド力を持たない中小企業だけではありません。」

 

と、いかにコミュニティを成立させるのが難しいかを指摘しています。

 

また、そこでは「ほとんどのSaaSコミュニティはサポート指向であり、ユーザー間で(サポート以外の)有意義な会話やつながりを生み出すことは、最も難しい課題です。」という分析もあります。

 

成功しているカスタマーコミュニティを構築した企業は、どのような点に着目してコミュニティを作り上げていったのでしょうか?Figmaを事例として細かく見てみます。

 

 

コミュニティ内での創造を奨励した、Figmaの事例

Figmaは、ネット環境下にある全てのユーザーが、高度なデザインにアクセスできるようにするために作成された、共同作業も可能なWebベースのデザインプログラムです。クラウドベースのプラットフォームとして、美しいデザインを作成するための幅広いツールと機能を提供しており、現在全世界の何百万人ものデザイナーがそれを利用しています。Figmaの強みは、チームがどこにいても同じページで共同作業できるコラボレーション機能です。 

 

Figma開発者は、この機能をさらに一歩進め、コミュニティ内でのユーザー間のコラボレーションと創造を奨励してきました。

Figmaを使用する誰もが独自のデザインを作成して共有し、他の人も使用できるようにしました。 

 

Figmaのコミュニティページでは、さまざまなカテゴリ間でのコラボレーションや作成物の共有が可能です。

 

https://www.figma.com/community

 

Figmaのコミュニティは、テンプレートやその他のクリエイティブの共有に基づいています。そのため、コミュニティは以下の様々なカテゴリを備えています。

  •  自分の作品を投稿して他の人が閲覧できるインスピレーション(着想)の場
  • FigJamと呼ばれるアイデアをブレインストーミングし、オプションについて話し合うための仮想ホワイトボードなどを提供する場
  • 学習と教育ができるワークショップやチームイベントを主催できるセッション
  •  ユーザーが自由に作品をアップロードできるデザイン
  • カスタム開発ツールを使用して、操作をこれまでより簡単に合理化するように設計されたプラグイン開発

 

また、Figmaは、着想を共有したりデザインついて話し合ったり、また、メンバーが質問したり答えたりするための、コミュニティフォーラムも主催しています。 コミュニティのメンバーのほとんどはデザイナーやアーティストであり、お互いにデザインや学習内容を共有しています。ユーザーは互いにFigmaの使用の仕方を助け、メンバーがプログラムの使用中に問題に遭遇した場合にはサポートとトラブルシューティングを提供しています。

 

コミュニティ・フォーラムは、コミュニティ・マネージャーを中心にFigma社の運営により管理されています。フォーラムではプラットフォームを使用するメンバーに、教育的な環境や体験を、安全に提供しています。また、コミュニティ・マネージャーの役割は、各種のプロジェクトをグローバルに運営していくマルチタスクに加え、必要なツールごとのサポートを管理し、各ステークホルダーに関与させていく任務があります。

 

このような活動の結果、Figmaは大きく成長し、2022年9月にAdobeに200億ドル(約2.8兆円)で買収される計画がAdobe社の四半期決算で発表されました。

 

クリエイティブな創造を共有するスペースを作り上げた、Figmaコミュニティ

Figmaはそのユーザーコミュニティのおかげで、200億ドルで買収されるブランド力を持つ企業に成長しました。この活気に満ちたコミュニティは、既成概念に捉われずに考える、クリエイティブなチームや個人が、自分のアイデアや作品を同じような人々と共有するスペースを生み出しました。 

 

同じ考えを持つ人々とのつながりは、優れたコミュニティ体験の核心とも言えるでしょう。Figma社のオープンな共有ポリシーが、運営によりユーザーにとって安全で快適なスペース保つことで、Figmaコミュニティはクリエイティブな人たちが出会い、交流するのに最適なオンラインスペースとなって成功しました

 

その過程でFigmaは、デザイナーと彼らのもつ課題、そしてクリエイティブなコラボレーションの仕組みに焦点を当てた点、さらにはデザイン製品としてのFigmaの基本的な機能に対するコミュニティ主導のアプローチを採用した点が特徴的です。 つねに進化するクリエイティブなデザインプログラムを使用したいユーザーは、確立された既存製品ではなく、コミュニティ主導の進化するデザインプログラムを選択したのです。

 

コミュニティプラットフォームについて考えるとき、製品/サービスがユーザーに提供する価値と、それに繋がる方法を様々な角度から考え提供する必要があります。Figmaで言うと、「デザインを共同作業にする」ことを利用して、コミュニティを作成して他の人と共有するためのツールを提供し続けてきました。 

 

SaaSコミュニティを構築するときは、Figmaの事例のように、提供している製品/サービスと、それを中心にコミュニティを構築する方法について考える必要があるでしょう。

 

参考資料

https://peersigna.org/research/brand-community

https://getstream.io/blog/saas-community/ 

https://www.revgenius.com/mag/community-led-growth-saas/ 

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