暗い仮説検証のトンネルを抜けて、PMFという光が見えてきた話
ナレッジ
2023.05.18
- #プロダクト開発
- #comcom
こんにちは。
NEWPEACEでプロダクトマネージャーをしているひぐちです。
NEWPEACEでは、コミュニティマネージャーをサポートする「comcom」というサービスを開発しています。 「comcom」では、コミュニティマネージャーの業務フローにあわせて複数のプロダクトの開発を目指しており、コミュニティ分析ダッシュボード「comcom Analytics」とそのデータを活用したリサーチ・運営支援サービスを現在提供しています。
わたしは「comcom Analytics」のプロダクトマネージャーとプロダクトチームのマネージャーを担っています。コミュニティマネージャーの共同学習コミュニティ「コミュマネラボ」も主催しています。
※なぜcomcomというサービスを開発しているのか、についてはこちらの記事を御覧ください。(https://newpeace.jp/articles/career_comcom_higuchi/)
「comcom Analytics」は、2022年9月にオープンβ版をリリースからわずか半年で利用コミュニティが1,000を超え、100万ユーザー以上のログを取得するほどの規模になりました。
2022年1月にクローズドβ版のリリースからみても1年半弱でプロダクトの検証をほぼ終え、PMFが目前に見えてきました。
開発しているプロダクト「comcom Analytics」が1つの壁を越えました。一緒に次の壁を越えていく仲間を探していくために、これまでの歩みと直面している課題を整理しました。
1→10, 10→100 のプロダクトのグロースに少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
検証を(ほぼ)終えて、PMFへと差し掛かる「comcom Analytics」
一般的にプロダクト開発には4つのフェーズがあるといわれています。
現在の「comcom Analytics」は、③Solution Product Fitの半ばにあり、PMFがすぐそこまで見えています。 具体的には、プロダクトの価値を顧客が実感してくれていて、継続して使っていきたいという声があり、マーケティング施策を打たずとも定常的に新たな顧客の流入もあるという状態です。(一方でプロダクトには改善するべき点も多くあり、このままグロースに挑むには不十分だと思っています。)
④Product Market Fitと、①〜③のフェーズでは大きく異なることがあります。 それが、「検証」と「拡大」という目的の違いです。
「comcom Analytics」はプロダクト開発を開始してからずっと「検証」を行ってきました。それは暗いトンネルを手探りで進むようなもので、「もしかしたらこのトンネルには出口がないのかもしれない」という一抹の不安も抱えながら1年半弱を駆け抜けてきました。目指す道のりの1%ではありますが、
具体的にどのような活動を行ってきたのかを簡単に紹介します。
①Customer Problem Fit
コミュニティマネジメントに対する課題感を持つ人々がどのくらいいるのか」の検証を行いました。
当時は、いま以上に「Discord = ゲーム」の印象が強かったこともあり、周囲からは、「コミュニティだったら Facebook や Slack 向けが良いのではないか」「そもそもコミュニティってビジネスになるほどあるの?」と懐疑的な声も多く、小規模ベンチャーである弊社の中で投資判断をするために、無駄なく丁寧に検証を進める必要がありました。
なので、問いを検証するために1つだけ行ったことは、クローズドβ版の利用予約受け付けのプレスリリースです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000058192.html
プレスリリース経由の問い合わせは200コミュニティに及び、仲間内で運営している十数人のコミュニティから、企業が運営する数千人規模のコミュニティまで幅広い層から問い合わせがありました。仕様しているプラットフォームの内訳も8割が Discord であり、コミュニティマネジメントに関する課題は顕在していて、1つのプレスリリースを頼りに問い合わせをしてきてくれるほど切実なものだということがわかりました。
②Problem Solution Fit、③Solution Product Fit
「顧客の課題を解決する手法があるか」「顧客の課題を解決する手法をプロダクトで実現できるか」については、順番にではなく同時に検証することも多くあります。(※)
コミュニティマネージャーが意思決定で抱える課題は「コミュニティの状態を把握・判断できず活性化に向けた効果的な施策を再現性をもって実施できない」というものでした。
その課題を解決するために「どのような統計情報を可視化すると、課題が解決できるのか(そしてそれはプロダクト上で行えるのか)」を機能リリースとユーザーヒアリングを通して検証しました。あらためて振り返ると、この仮説検証はとにかく泥臭かった気がします。
コミュニティマネジメント領域において、日本国内で先行しているサービスはなく、0から仮説を立てる必要があり、顧客自身もどんな機能があれば課題が解決できるのかを正しく認識できていない状況でした。
一度、コミュニティ内のメンバーがどの時間にアクティブになるのかを正確に分析する機能を検証したことがあります。
自分自身の Discord コミュニティ運営の経験も踏まえ、個人的にはこの機能は重要だと考えていましたが、顧客に提案してみるとほとんど使われませんでした。しかも、この機能のために随時ユーザーのステータスを取得する必要があったのですが、DBのデータのうち9割近くを占めており、サービスの安定性を担保するために実装も工夫する必要がありました。
しかし、いざリリースすると、実はコミュニティマネージャーの多くは、コミュニティがアクティブな時間をなんとなく把握できているため、正確なアクティブ率や分布を見せても「思っていたのとだいたい同じでした」という気づきしかなく、活性化に向けた施策には繋がりませんでした。
逆に、自分のコミュニティでは、そこまで活用イメージが湧いていなかった「どのチャネル経由でコミュニティに参加したかわかる機能」は、コミュニティ拡大への注力チャネルが明確になるといって重宝されました。
こういった仮説やアイデアを簡易な機能に落とし込んで何度も顧客にぶつけてみる。 そういった泥臭いプロセスを経て、徐々に「comcom Analytics」が顧客の課題を解決するためにあるべき機能が明確になっていきました。機能改善を続けるうちに、法人からの問い合せも増え、売上も立ちはじめました。
PMFを迎えるとこれまでと何が変わるのか?
1年半弱の検証を終え、「comcom Analytics」はPMF(Product Market Fit)を迎えられそうな状態までやってこれました。ここからは「検証」ではなく「拡大」を目的にするため、活動内容も大きく変わっていきます。
これまではアイデアを顧客にぶつけていってプロダクトの原形を作っていきましたが、今は目指すべきプロダクトの理想形がある程度決まっているため、そこに向けて正しい道筋を最短距離で、猛スピードで進んでいくことが求められます。
カオスではなく、予見できる困難との戦い
プロダクトの理想形がある程度決まってきた今のフェーズでは、これまでのカオスの中での手探りの開発から離れ、一般的なプロダクト開発の側面が強くなっていきます。
ロードマップを記載し、ユーザー体験の向上やプロダクト価値、事業収益を高めるための新機能開発、内部的には開発体制の整備による生産性の向上・一般化といったことに加えて、ステークホルダーが増えることで安定した稼働や品質の向上も求められます。
既に困難な課題は予見できていて、プロダクトのスケールに併せて立ち向かっていかなければいけません。 重要であり、わたしたちに不足しているのは、「きちんとプロダクト開発」を進めていくことだと思っています。
プロダクト開発のセオリーを踏襲し、、ニューピースの事業戦略と投資状況にアレンジして開発を進めることでプロダクトのスケール速度は増していきます。(ただ、この正解を適切に選択することがとっても難しいのですが。)
解くべき問題は見えた、という希望
「comcom Analytics」はすでに顧客に価値を実感しはじめてもらっています。
導入コミュニティ数は1200を超え、100万ユーザーのログを取得・分析する規模まで大きくなりました。 比較分析や可視化すべき指標も見えており、機能の品質を高めつつ、安定的に稼働できれば、コミュニティマネージャーにとって不可欠なプロダクトになるでしょう。
道半ばを承知であえて述べます。
スタートアップの初期フェーズを経験した方なら想像できると思いますが、このフェーズまでたどり着くことも困難です。 多くのスタートアップが「何を作るべきか」の正解を見つけられず、ここまでたどり着けずにサービスをクローズしてきました。
「見えている問題を解き、プロダクト品質を高められれば、コミュニティマネージャーにとって不可欠なプロダクトになる」ことが明確になっている現在の状況は、1→10のフェーズの腕試しができるベストなタイミングです。です。
必要なのは王道を経験してきた人
スタートアップでは事業・プロダクトのフェーズが変わると必要になる人材も大きく変わるといわれています。
NEWPEACE、とくに comcom Analytics にとって、いまがまさにその転機です。
再三になりますが、1→10のフェーズで圧倒的な成長を達成し、PMFの壁を越えるためには、はセオリーを踏まえてプロダクト開発をリードした経験のある方を求めています。
取り扱う情報がエクスポネンシャルに増えていく中で、ベストプラクティス/アンチパターンの知見を活かし、落とし穴を回避しながら、重要なイシューにコミットし続けるあなたを待っています。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございます。
これまでのプロダクト開発はカオスばかりでしたが、実は私も他のメンバーもカオスな環境を楽しめる気質を持っていたため、面白く開発を進めることができました。
これからは「拡大」のフェーズになり、グロースのスキルがある人にも面白みを持って活躍してもらえる環境があると考えています。
これまでのグロース経験を活かしてコミュニティマネジメントという新しい領域でのデファクトスタンダードを一緒に目指していきたいという方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
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