MUSCAT GROUP | ライスカレーからMUSCAT GROUPへ
創業からSNSマーケティング事業で急成長を遂げ、SNSコミュニティを起点に展開する自社ブランド事業も展開しながら、BtoBとBtoCの両輪で念願の上場を果たしたライスカレー社。
一方で、多角的な事業展開を進める中で「何をやっている会社かわからない」という声が社内外から上がるように。
さらなる事業成長への明確な指針が求められていた。
創業者であり現社長の大久保氏が大切にしてきた「多様性/ダイバーシティ主義」を紐解き、会社のアイデンティティを「マス市場から個の時代を切り拓く」ことにあると再定義。その象徴として、粒の集まる果物であるブドウ、中でも特別感のある「マスカット/MUSCAT」を新社名に採用。ブドウをマス向けの成熟市場と見立て、そこからマスカットのような粒ぞろいの成長ブランドを次々と生み出すことで、消費者に新しいライフスタイルを提案する企業として、新ミッション「Difference for the Future」を策定した。
企業の根幹にある想いや提供価値をシンボライズし、ビジュアルと言葉で表現。人びとが周囲と同じものを求める時代から、SNSを通して個人が価値観によってつながり、それぞれが本当に欲しいものと出会える時代への転換を後押しするという、上場企業としての新たな成長軌道を指し示した。
2024年6月、株式会社ライスカレーは創業当初からの目標だった株式上場を果たした。SNSマーケティングにおいて、「Instagram運用といえばライスカレー」というポジションを確立。順調な成長を遂げてきた同社だったが、上場企業となった今、新たな課題が浮上していた。
現在は祖業であるSNSマーケティングの知見を活かした自社ブランドの立ち上げ、拡大やM&Aを積極的に推進し、ブランドプロデュースを起点とする事業会社へと大きく進化しようとしていた。多角的な事業展開により「何をやっている会社なのかわからない」という声も社内外で聞かれるようになった。
上場前は「株式上場」という明確な目標によって企業の一貫性が保たれていたが、目標を達成した今こそ、持続的成長に向けた新たな企業アイデンティティが求められていた。市場からも短期的な数値達成以上の”骨太な企業価値”を求められるフェーズへと移行している。
このような背景から、さらなる事業成長のための新しいアイデンティティの確立が不可欠であり、その第一歩として社名変更プロジェクトが始動。リブランディングのパートナーとして、ニューピースがプロデュースを務めた。
揺るぎないブランドを立ち上げるために、まず経営者と企業のスタンスを再接続する必要があった。
社長の大久保氏を中心に、プロジェクトメンバーとの議論を重ねる中で、同氏が大切にしてきた価値観や情熱の源泉、そしてライスカレーならではの勝ち筋を丁寧に紐解いていった。
それは、同社が掲げるテーマである「多様性」「ニッチ/マス」といったテーマを問い直す過程でもあった。
ニューピースを介した議論を経て、大久保氏の意図する「多様性」とは、一般に想起される穏やかな包摂ではなく、異質な意見や摩擦を積極的に許容する“ニューヨーク的カオス”。その根底には、「固定化された価値観を打ち破りたい」という一貫した姿勢があることを引き出した。
また、ライスカレーの成長は、ゼロから市場を創る発明ではなく、マス市場の中で光るニッチを切り出し、全体の1%でナンバーワンを獲るプロデュース力によって築かれてきたことを再確認。そして、上場を果たしたいま、ライスカレーが従来のSNSマーケティング支援のB to B事業を主軸とした会社から、様々なニッチブランドを展開するB to C向けの会社への展開していくという、さらなる成長に向けた戦略を言語化。
マスメディア主導の人びとが周囲と同じものを求める時代から、SNSを通して個人が価値観によってつながり、それぞれが本当に欲しいものと出会える時代への転換を後押しする企業でありたいという、大久保氏の想いとライスカレー社の事業スタンス・成長戦略を貫く、リブランディングのコンセプトが定まった。
このリブランディングのコンセプトを、言葉とデザインに落とし込むフェーズが始まった。
当時、ライスカレーは自社事業を「Community Data Platformer」と定義していたが、これから同社が目指す姿と乖離が生じ始めていた。
ニューピースは事業ポートフォリオを改めて分析。数値では測れない同社の真価を探った。
浮かび上がったのは、「人生にちょっとした、しかし確かにポジティブな変化をもたらす」ブランドプロデュース力だった。
新社名は「MUSCAT GROUP(マスカット グループ)」。
マス市場の中で異彩を放つ可能性の種を見つけ、誰かにとっての特別なブランドに育てていく事業姿勢を、ブドウの実から生まれた高級品種・マスカットに重ねた。
旧社名「ライスカレー」の親しみやすさは引き継ぎつつ、企業のスタンスをより明快に伝える社名へと進化させた。
さらに、新ミッションとして「Difference for the Future」を策定。
個性的な存在が未来を切り拓く使命を端的に示し、ミッションステートメントでは社員一人ひとりの目線から同社の挑戦を語り直した。
ミッションステートメント
ブランドの言語化に続き、視覚資産の開発に着手。シンプルで汎用性・耐久性に優れたロゴ制作を得意とする株式会社6D-Kとタッグを組み、これまでの議論や事業構想を共有しながらデザインを制作した。
あわせて、事業ポートフォリオを整理・再定義し、各サービスが生み出す価値のつながりを可視化する新しい事業モデル図を作成。新社名・新ミッションのキーワードを効果的に配した成長戦略図を描き、社内外のステークホルダーが同社の事業概要と成長可能性を一目で理解できるようになった。
さらに、コーポレートサイトも全面刷新。ロゴが印象的に現れるファーストビューから、スクロールにあわせてミッションへ誘導する導線を設計。訪問者が短時間でMUSCAT GROUPの特徴を把握し、ブランド世界観に没入できる構成となっている。
事業領域図(Before)
事業領域図(After)
事業モデル図
成長戦略図
コーポレートサイト
社名・ミッション・戦略を一気通貫で刷新したことで、多角化する事業の方向性が統一され、社内外に対する共通言語を獲得。
「Difference for the Future」という明快なミッション、「Brand Produce Compay」という提供価値、成長戦略 、これらを束ね象徴する社名により、MUSCAT GROUPは上場後の新たな成長フェーズに向けた第一歩を踏み出した。
社名変更の相談から始まる、企業の存在意義を再定義したリブランディングプロジェクト。NEWPEACEでは企業の本質的な課題を提起し、意思決定まで伴走。クリエイティブによる企業の非連続的な成長を支援している。
高木 新平
Creative DirectorCI戦略立案、企画、制作にかかるクリエイティブディレクションを担当
波田野 奈津江
Project Managerプロジェクトマネジメント
谷本 好
DirectorWebサイト制作ディレクション
木住野 彰悟
Art Direction, Design(株式会社6D-K)加藤乃 梨佳
Design(株式会社6D-K)水井 翔
Director, Motion Graphics氷室 良晃
Composer樋口 聖
Producer(株式会社パノラマ)蕪木 弘樹
Director(株式会社パノラマ)香川 貴史
Producer,Director(株式会社パノラマ)津江 悠真
Director(株式会社パノラマ)ヤナギタジョー
Designer(株式会社syncity)金城 未来
Front-end Engineer(株式会社パノラマ)吉田 竜二
Front-end Engineer(株式会社パノラマ)