ZENB | ファンの口コミで広がる自走化するブランドを設計
CHALLENGE
OUTCOME
おいしさとカラダにいいを一致させる未来の食生活を提案するZENB(ゼンブ)。黄えんどう豆100%ヌードルなどの革新的な商品を展開していたが、機能訴求の広告が増えており、共感が広がるブランドになれていない課題があった。そこでブランドの思想として「ウェルビーイング」をキーワードに、人に焦点を当てたクリエイティブやSNSに刷新。ランチや夜食の代替として提案するキャンペーンや表参道のレストランを巻き込んだPR施策などを展開することでブランドの世界観を共有し、認知度向上・ファン形成を実現した。
ZENBは、ミツカンの独自技術によって栄養素が高いにもかかわらず廃棄されてしまう植物の種や皮といった部分まで加工することで、野菜をまるごとおいしく食べることのできる新しいアプローチの商品です。
ブランド立ち上げの背景には、ミツカンの前オーナーがグローバルマーケットを見る中で感じた「これからは地球環境に優しいモノづくりを行っていこう」という強い思いがありました。ZENBはサステナビリティや食材ロス問題に対する思想を持ったブランドなのです。
しかし、NEWPEACEが問い合わせを受けた当時は、ZENBブランドの販売数は伸びているものの、訴求したい世界観をうまく伝えられていませんでした。また、ユーザーもミツカングループ側の理想とズレているという問題意識がありました。
ZENBは素材や製造プロセスにこだわっているからこそ、どうしても販売価格が高くなってしまいます。例えば「ゼンブヌードル」であれば一食あたり198円。一般的なスーパーなどで売られるパスタが一食あたり40〜80円であることを考えると決して安いとは言えません。
手に取ってもらおうとすると、おのずと「所得に余裕のある高齢者にとっての健康食品」になってしまい、ユーザーとのコミュニケーションも、実態はただの健康食品としての方向性で行われていました。
しかし、ZENBブランドの持つサステナビリティへの問題意識や、栄養価の高い食材をまるごとおいしく食べれるという価値を理解し、共感してくれる層は当時から確実にいるはずでした。そこで、ZENBに共感を持ってくれるユーザー像や、彼らが何を求め、どのような世界観を好み、コミュニケーションを求めているのかを考え、ZENBブランドの商品をもとに新しい世界観を打ち立て、ユーザーとのコミュニケーションすらもつくり変えることを提案しました。
ZENBはすでに確固としたVisual Identityを持っていました。課題は、ブランドの世界観とユーザーとのコミュニケーションのあり方が一致していなかったことです。
NEWPEACEはコミュニケーションの構造から整理し、新たな市場・文化を広げていく「ブランドコミュニケーション」と、目の前の人に商品を買ってもらう「セールスプロモーション」に分けて行うことを提案しました。
ZENBのようにブランドの世界観を明確にし、広げていくようなことが求められている場合は、コアユーザーを定義した上で、彼らを介してブランドを発信していくことが求められます。
そこでNEWPEACEは、ブランドのスタンスを明確にしつつ、コアユーザーを定義し、彼らにどのようにメッセージを伝えていくのかを組み立て、コアユーザーを巻き込んだコミュニケーション施策を打ち出していきました。
コアユーザーの人物像に対する解像度を高めるために、「こういう人に使って欲しい」と思える実在する人を何人も例に挙げながらペルソナのイメージを可視化し、認識を統一していきました。
ペルソナの一人となったシェフの森枝幹氏は、その後、NEWPEACEからコンタクトを取ってZENBの商品をお送りし、思想やプロダクトに共感していただいています。
これまでのZENBのSNS運用や広告では、商品の機能訴求についての内容がほぼ100%で、誰が商品を愛用しているのか、どんなライフスタイルを支えているブランドなのかを、ユーザーからは見えない状況になっていました。
しかし、それではZENBが作りたい世界観がコアユーザーに伝わらず、共感の輪は広がりません。
この状況に対して、NEWPEACEは商品単体ではなく、実際に積極的にZENBを生活に取り入れているコアユーザーのライフスタイルを、景色として伝えていくことが重要なのではないかと考えました。
一つの施策として、ペルソナに設定し、その後直接コミュニケーションを取っていた森枝氏の家を訪問。インタビューを実施しました。
その後も森枝氏にはインスタグラムで生活や料理の様子を掲載したり、ZENBとのレシピコラボを行うなど、コアユーザーとしてさまざまな施策に関わっていただいています。このようにZENBというブランドの持つ思想に共感するコアユーザーと共に、ZENBを取り入れたリアルなライフスタイルを発信しています。
大企業ではユーザーとの接点が少なく、特にZENBのような実店舗での販売のないブランドでは、実際のコアユーザー(または予備軍)の声を製品開発担当者やマーケティング担当者が直接聴く機会は多くはありません。
そこで、ZENBがブランドとして大事にしてるキーワード「ウェルビーイング」「サステナビリティ」などに高い興味関心があり、生活の中で実践しているユーザーを招き、実際に商品を体験したり直接対話できるミートアップを高頻度で開催しました。
さらに、ミートアップでZENBの思想に共感してくれたコアユーザーの家を訪問して、ライフスタイルのインタビューを実施。ユーザーの力を借りてブランドが理想とするライフスタイルを発信していきました。
またコアユーザーとの接点である街(当時は表参道)で、ZENBに通じる世界観を持つ同じエリアのレストランシェフとコラボし、ZENBを使ったメニューを提供。ZENBの食体験をアップデートしながら、ユーザーとの接点を作っていくなど、コミュニケーションをより立体的なものにしていきました。
さらにミートアップやイベントを通したコアユーザーとの接点から発見したインサイトを抽出し、ZENB発でライフスタイルを提案するキャンペーンも展開しています。
「BRAND NEW LUNCH」キャンペーンでは、リモートワークが普及したこともあり、打ち合わせ続きで時間がなく、健康的なランチができていない人のためのランチキットを展開しました。
また、夜食をテーマにドラマ仕立てでZENBのある生活を伝えるブランドムービーを制作。夕飯を食べるタイミングを逃して夜遅くに帰宅した様々な人が、ZENBを使って健康的に自分を満たすというストーリーを1本のムービーにまとめました。
このようにコアユーザーのライフスタイルが浮かび上がるようなブランド訴求の機会を増やしていきました。
ZENBのコアユーザーやそのライフスタイルが可視化された結果、モデルや食の専門家などの中で支持されるようになり、インスタグラムを中心にSNS上でクチコミが広がっていきました。
商品としての機能以上にブランドとしての世界観を打ち出すNEWPEACEによるブランディングによって、、ZENBを届けたいこだわりがある人が選ぶブランドとしてイメージが普及し、価格というハードルも超えて購入する人がますます増えています。
さらに、ZENBを運営する社員も、施策を通してどういう人がZENBのコアユーザーで、どんなライフスタイルを送っているのかなど、ユーザーに対する解像度が格段に上がっています。
今では、ZENBの社員がミートアップやSNS企画・運用を自ら行っており、ブランドとして理想的な状態を作ることにつながりました。
NEWPEACEでは、ブランドがエンパワメントしたいコアユーザーの人となりやライフスタイル、ありたい姿を重視したブランド戦略にはじまり、「ブランドを語ってほしいユーザー」を巻き込んだクリエイティブなどのコミュニケーション設計・企画表現まで伴走して支援することで、ブランドパートナーとしてブランドを浸透させるための一貫したコミュニケーションを実現させます。
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