新たな地域コミュニティ?コインランドリー×喫茶店
トレンド
2023.06.01
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喫茶ランドリーとは、株式会社グランドレベルが運営する「喫茶店」と「コインランドリー」が一緒になった「家事室付き喫茶店」です。
喫茶ランドリーは、デンマークで生まれましたが、洗濯という家事を通した地域のコミュニティは、古くは日本の地域にも「共同洗濯場」という形で存在していました。
そんな洗濯を通したコミュニティを、現代の日本に新しく生み出している「喫茶ランドリー」の事例について、今回はご紹介します!
「どんな人にも、自由なくつろぎ」がコンセプトの「私設公民館」
喫茶ランドリーとは、株式会社グランドレベルが生み出した喫茶店とコインランドリーが一緒になった家事室付き喫茶店の名前です。
喫茶ランドリーは普通のコインランドリーではなく、併設されている喫茶店で友人同士でお茶をしたり、仕事をしながらコインランドリーでの洗濯中の時間つぶすことができる空間です。
喫茶ランドリーのキャッチコピーである「どんな人にも、自由なくつろぎを」という言葉の通り、まちに暮らすすべての人々が来れる「私設公民館」のような場所にしたい、という想いのもとにつくられています。
人と人とのコミュニケーションが自然と生まれるような設計も魅力です。
コインランドリーで洗濯をしに来たり、喫茶店を利用しに来た利用者同士で繋がりができることはもちろん、井戸端会議が自然と発生する地域の小さなコミュニティが日々生まれる場所になっています。
喫茶ランドリーの元になったデンマークの「ランドリーカフェ」
喫茶ランドリーの元になったのは、デンマークのコペンハーゲンにある「ランドリーカフェ」。
デンマークには古くから洗濯・乾燥機やアイロンなどが設置されている家事室とコーヒーや軽食、スイーツを楽しめる喫茶店が一緒になったランドリーカフェが地域住人の憩いの場として親しまれてきました。
株式会社グランドレベルの代表もこのランドリーカフェに訪れたときに、ある場所では夫婦が洗濯をしながら子供をあやしていたり、またあるところではおじさんがぼうっと軽食を食べて過ごしてたりと、おのおのの日常生活が垣間見えたといいます。
「日本にもそんな人々が思い思いに集える場所が必要だ」と考えたことから、喫茶ランドリーは創設されました。
年齢も性別も目的も関係なく、気軽に集まれる地域密着型の施設
デンマークの町には古くからランドリーカフェが地域住人の日常に溶け込んでおり、「ただ家事をするところ」ではなく、地元の人が気軽に遊びに来る素敵なコミュニティが形成されています。
日本の喫茶ランドリーも同様で、下は0歳児から上は高齢者まで誰もが気軽にちょこっと寄れる居場所として展開されています。
日本にも古くは「共同洗濯場」と呼ばれるような場所があり、多くはその集落の女性たちが集まって一緒に洗濯をしながら、世間話をすることで、そのコミュニティの中の情報共有が行われる空間が存在していました。しかしながら、現代の日本において、そのような日常の家事をコミュニティの中で共有するような空間はほとんどありません。また、コロナ禍の影響もあり、わずかにあったような地域のオフラインコミュニティも一時的になくなったり、住人同士がつながることのできる活動が少なくなった地域も多いはずです。
そんな、現代日本において、昔あったような地域コミュニティをつなぐ空間として、新しい風を吹かせるのが喫茶ランドリーのビジネスモデルです。
喫茶ランドリーの魅力 〜コミュニティづくりのヒント〜
ここからは、喫茶ランドリーの事例にみる、コミュニティづくりのヒントになるようなポイントを紹介したいと思います。
① 日常的な行動を共有することで生まれるコミュニケーション
喫茶ランドリーのよくある光景として、一人で家事室を利用していると隣人の方がやってきて「久しぶり!元気にしていた?」と井戸端会議的に会話が生まれます。
喫茶店単体ではそういった光景はめったに見ませんが、日常的に発生する洗濯・乾燥などの家事室と喫茶店を融合することで、「同じ作業を共有している人たち同士」をつなぎ、そのコミュニケーションの機会を作ることに繋がっています。
② 便利さではなく、 ”ちょっと面倒なこと” で生まれるコミュニケーション
喫茶ランドリーにある、洗濯・乾燥機には、実はコインを入れるところがありません。
コイン式ではなく、ハイスペックなエレクトロラックス社製の業務用の洗濯機が採用されていますが、これを利用するには、レジを介して事前に支払い、洗濯・乾燥機を借りるということになります。
手間はかかりますが、貸し借りのやり取りがあることで、そこには小さくともコミュニケーションが生まれる設計になっています。
③ アイロンやミシン、大きいテーブルがある “家事室” が自発的な活動を生み出すオープンスペースに
喫茶ランドリーの家事室には、誰もが自由に使えるイベントスペースや大テーブルが用意されており、地域住人や利用者は自由にスペースを活用できます。そこで家事を同じ空間で行うことを通して、地域住人のその時々に合った悩みや関心から、地域住人同士でスキルや知識を共有しあうイベントが誕生するきっかけを生み出しています。
例えば、喫茶ランドリーの家事室で住人同士の会話をきっかけに、「幼稚園の子供を持つ親に出される鞄づくりの宿題」をミシンが得意・不得意のママさんがミシンを教える「ミシンウィーク」が開催されたそうです。
地域の人々が気軽に「小さなやりたいこと」を実現できることで、それまでつながりや交流のなかったような人たちの中でも、交流してみたいという積極的な住人も増え、「喫茶ランドリー」をきっかけに、人と人とが触れ合い、そして新たな互助的な関係性を生み出す魅力的な場所が形成されていくのです。
喫茶ランドリーで実施したイベントを皮切りに、自身で教室を開設したり、自分で事業を立ち上げたり、テストマーケティングを行うなど、地域がより活性化し魅力的になる好循環も生まれることも期待されています。
まとめ
今回の記事では、喫茶ランドリーという地域コミュニティをつくる新たな空間づくりの事例について取り上げました。
地域コミュニティの形成や交流の場としての役割を果たす施設として、注目を集めている喫茶ランドリーですが、地域の人々がふれ合い、新しい関係性が生まれていくコミュニティの秘訣には、同じ作業を共有できる日常的な家事や、ちょっとした面倒臭いことで生まれるコミュニケーションの設計があるのかもしれません。
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