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伝統工芸品メーカー「マルヒロ」に学ぶ | アーティストと共創するブランドに必要なこととは?

伝統工芸品・波佐見焼のメーカーである「マルヒロ」は、創業以来多くのアーティストとのコラボレーションを実現。商品だけに止まらず私設公園の設置やフェスの開催に至るまで多くの共創を行い続けています。アーティストコミュニティと継続的にコラボし、その力を最大限に活かすために必要なことについて考えていきます!

 


 

NEWPEACEコミュニティマネージャーのKONOMIです!

 

わたし自身、実際にマルヒロのある長崎県波佐見町まで訪れたり、就職を検討したこともあるくらいマルヒロが大好きです。

 

なぜ私がここまでマルヒロに魅力を感じるかというと、それはマルヒロがたくさんのアーティストとコラボし続け、常に新しい魅力を見つけることができるブランドだからだと思います。

 

しかし、コミュニティマネージャーとして、様々なブランドのコミュニティづくりに携わるようになった今、この「アーティストとコラボレーションし続けるということ」そして「アーティストやクリエイターを巻き込んだコミュニティを作ること」がいかに難しいかを痛感しています。

 

コラボを行えても一過性のものになってしまったり、コミュニティ化することまでできなかったりというブランドも多い中で、なぜマルヒロはアーティストを巻き込み続けることに成功しているのでしょうか??

 

今回は、そんなマルヒロの成功事例から、アーティストの信頼を勝ち得ていくのに重要なポイントについて考えてみました。

 

マルヒロ公式サイト

有限会社マルヒロについて

昭和32年、露天商に始まったマルヒロは、長崎県の工芸品「波佐見焼(はさみやき)」の食器やインテリア雑貨を企画している、工場を持たない陶磁器メーカー。

 

年間60種類以上のプロダクトを企画・販売しており、その活動の中で1点もののアート作品や企業の商品、風変りでおもしろい物まで、これまで多くのアーティストと共に楽しい商品を生み出してきました。土から始まり、一つの商品になるまでたくさんの人達が関わる波佐見焼は、400年以上に渡り受け継がれています。

 

例えば、オランダ・アムステルダムのアーティストBoris Tellegen 氏とのコラボレーション。2018年9月に原宿にて開催したエキシビションではフラワーベースやタイルなど立体的な作品を多数制作。

 

マルヒロ公式サイト/Boris Tellegen 

 

 

2021年にはHASAMIseason01の日用食器の平面に立体的なグラフィックを落とし込み、アートピースや日常使いでも楽しめる作品をリリース。

 

マルヒロ公式サイト/HASAMI × BorisTellegen PL4YDELTAシリーズ

 

 

2021年マルヒロがオープンさせた私設公園「HIROPPA」ではBoris Tellegen 氏が手がけた全長10mの巨大オブジェを設置。

 

その後、2022年には波佐見焼の技法のひとつである「上絵転写」を自宅で体験できるTENSHA STICKER CRAFTKITS もリリースしています。

 

マルヒロ公式サイト/BARBAR × Boris Tellegen TENSHA STICKER CRAFTKITS

 

 

アーティストとの共創コミュニティをつくる秘訣

コラボレーションの軌跡を熱量高く伝えて示すリスペクトの姿勢

国内はもちろん、海外のアーティストとも積極的なコラボを続けているマルヒロ。

 

企業の商品開発において「コラボする」こと自体珍しいことではないと思いますが、マルヒロの場合「手広く多くのアーティストと」ではなく、アーティスト一人一人との縁を大切にすることで「継続的なコラボレーション」を叶えています。

 

マルヒロ公式サイト/アーティストページ

 

 

公式サイトには過去にコラボしたアーティストが丁寧にまとめられており、マルヒロのコラボレーションへの「熱量」が伺えます。誰でも閲覧できる場所に、文章や動画など様々なアウトプットで表現しているところが流石だなと思わずにはいられないのですが、これだけ可視化されているとアーティストも嬉しいだろうと思いますし、このサイト自体がマルヒロの「ポートフォリオ」のような役目を果たしているのではないかと思います。

 

 

また、マルヒロの公式サイトには過去にコラボレーションしたアーティストを紹介するページが設けられているのですが、そこには各アーティストと一緒に制作した作品やコラボに至った経緯、商品の制作過程、商品一覧までが全て掲載されています。

 

マルヒロ公式サイト/Boris Tellegen

 

 

企業におけるコラボレーションでは、基本的に1度のコラボだけでアーティストが企業へ「特別な思い入れ」を抱くことは難しく、「一度ご一緒させていただいた企業さん」程度の印象に終わることも少なくありません。

 

コラボレーションの過程を丁寧に記したり、そのための撮影を行ったり、動画作成をしてYoutubeに投稿したり。こういった「工数のかかること」はコラボレーションにおいて必須ではありませんが、このようにアーティストに対して真摯に向き合う「マルヒロ」の姿勢には相手に対する心からのリスペクトを感じます。

 

コラボレーションは単に「適切な報酬」さえ出せば叶う訳ではなく、アーティスト自身に「この企業と一緒なら、自分の理想とする世界観のなかで新しいものづくりに挑戦出来そうだ」と感じてもらうことがとても重要です。マルヒロの丁寧なコミュニケーション、そしてアーティストや、アーティストが作り出す作品への姿勢が、多くのアーティストと継続的なコラボレーションを叶えてきたのだと感じます。

 

コラボ商品だけに止まらない、イベントやコミュニケーション機会の共創

マルヒロは波佐見焼のメーカーですが、食器やライフスタイル雑貨にとどまらないコラボレーションを繰り広げており、アーティストと共にブランドを、しいては波佐見焼そのものを拡張し、コラボレーションすることによって自社だけでは届かない層へのアプローチを叶えていると思います。

 

例えば、マルヒロが2021年10月にオープンさせた私設公園「HIROPPA

 

敷地面積は1200坪に及び、直営店、キオスク、カフェが併設されている他、車椅子でも一周できるようバリアフリーの通路も敷設されています。

 

HIROPPA公式サイト

 

 

HIROPPAができたキッカケ、それはマルヒロ代表の馬場さんが「将来的に町にどのように貢献できるのだろうか?」と考えた際「波佐見町では町民の約3割は焼き物の仕事に関わるというものの、町には焼き物に触れる場所が少ないという現状。子どもたちが幼少期から焼き物に触れられる場所をつくりたい。お金を払わなくても来られる場所がいい。みんなが気軽に立ち寄れる公園をつくって焼き物に興味を持ってもらえたら、後継者不足の解消にもつながるかもしれない。」と考えが浮かび、そこに「波佐見町に、子どもたちが遊べる場所を作ってあげたい」という思いが重なったからでした。

 

今では遊びに来た子供達が好きに寝転んだり、お弁当を食べたりと、自由な空気が漂う憩いの場になっていますが、この公園にはたくさんの人が集まる魅力的な「場」にするために、建築家、アーティストやクリエイター、庭師など、プロフェッショナルな工夫がたくさん詰まっています。

 

例えば、マルヒロの焼き物とコラボしてきたイラストレーター兼アーティスト、竹内俊太郎さんが描いた大きなうつぼがぐるっと巡る砂場「YAKIMONO BEACH(やきものビーチ)」ここは廃材となった焼き物を砕いたものが使われているのですが、砂場に高低差をつけることで水を貯められるようになっており、夏の暑い時期には裸足で水遊びすることも可能です。

 

他には、BorisTellegen 氏が手がけた巨大モニュメント。マルヒロと継続的なコラボを続けているBorisTellegen氏ですが、一番最初にコラボした2018年、波佐見町に来たBorisTellegen氏に、マルヒロ代表の馬場さんが「公園をつくる時、一緒にやりましょう」とオファー。実際に計画が動き出してから連絡をしたところ、ボリスさんは「待ってたよ」と快諾してくれたそうです。

 

PRtimes /ガレージセール

 

 

毎年ゴールデンウィークには「HIROPPA」とHIROPPA隣接の「OUCHI」、「KOUBA」にてガレージセールも開催されています。

 

ゴールデンウィークは全国各地で陶器市が開催されるていますが、マルヒロの「陶器市」は県内外からのフード出店や、アーティストによるワークショップ、スケートボードイベント、音楽ライブなど様々なコンテンツがあり、ガレージセールというより、フェスイベントと呼んだ方がしっくりくるようなイベント。出店者数はなんと約60店舗。

 

このような大規模なイベントが行えるのも、マルヒロがこれまで関わる人との縁や価値観を大切に活動してきたからこそだと思います。

 

このように、自社だけで叶えるのが難しい規模のプロジェクトもアーティストを巻き込むことで共創することができ、さらに共創によって関係人口を増やすことで、そのコミュニティのもつ力を最大化させていっているのだと思います。

 

終わりに

ブランドづくりや、そのコミュニティを拡げていく中で、アーティストや他のクリエイターとのコラボレーションなど、他者を巻き込む機会は少なくないと思います。一方、せっかくアーティストとコラボできたとしても、「コミュニティに実際に巻き込む」ことまで行うことが難しかったり、継続的な繋がりを持つことができなかったりといった課題に直面することがあると思います。

 

だからこそ、今回紹介した「マルヒロ」のように「これまでアーティスト自身が築いてきた世界観を理解し、信頼し、尊重する」という姿勢をもち、それを自社のサイトやプロダクトの中で伝えるコミュニケーションを取りながら、アーティストやクリエイターからの信頼をえていくような活動が、ブランドの思想を起点にし、それを拡げていくプロセスにおいてとても重要なことなのではないかと思います。

 

NEWPEACEのCommunity Management Unitでは、そのようなブランドづくりを行う際に直面しがちな課題について、一緒に向き合い、様々なパートナーから信頼されるようなコミュニティづくりを行っています。コミュニティ運営にまつわる様々な相談をうかがっていますので、まずはお気軽にご相談ください!

 

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