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NEWPEACEが考える、「エゴ」で終わらない新時代のブランディングについて

マスメディアの衰退、ソーシャルメディアの台頭、広告への不信用——。テクノロジーの誕生やそれに伴う消費行動の変化によって、ブランドと生活者の関係性は日々変化しています。

 

どのようにして自社ブランドを知ってもらうのか、いかにしてファンになってもらうのか。これらの問いに答えを求めるのは簡単ではなく、ブランドは生活者との“継続的なつながり”を求めて様々なアプローチを実践しています。

 

マーケティングに正解と呼べる手法がなくなった現在、NEWPEACEが提唱するのが「コミュニティの活用」です。代表の高木新平は「早くて尖った個人の声は、感情を露わにしにくいブランドの声よりも大きい。個人の声を通じたマーケティングが必要だ」と語ります。

 

なぜ、「VISIONING」を事業としてきたNEWPEACEは、新たに「コミュニティの立ち上げ・運営支援事業」を立ち上げたのか。コミュニティをプロデュースすることが、「価値観を仕事にする。」というビジョンの達成につながるのか。

 

高木のインタビューを通じ、マーケティングの新潮流と、これをNEWPEACEがプロデュースする理由について聞きました。

 


 

自分語りより、他人語りの時代

—— 「VISIONING」を事業に掲げていたNEWPEACEですが、ビジョンのリニューアルをきっかけに「コミュニティの立ち上げ・運営支援」まで活動範囲を広げています。どのような背景があったのですか。

僕らがこれまでに行ってきた「VISIONING」とは、未来志向のブランド開発手法であり、一言で表現するならリブランディングの支援です。世界観と戦略を描いて提供する、線ではなく点の関わりを持つ事業でした。

 

 

どのような企業・ブランドにおいても存在意義が問われる時代において、世界観を描くことは非常に重要な役割だと認識しています。しかし、これからの時代は、世界観を描いて発信していくだけでは、ブランドが実体として根付いていかないのも事実です。

 

NEWPEACEは、ビジョンに「価値観を仕事にする。」と掲げています。世界観を描くだけでなく、それを伝え続けなければビジョンの達成は難しく、このタイミングでコミュニティマネジメント事業を立ち上げました。

 

ブランドの世界観を語り継ぐ個人が集うコミュニティを立ち上げ、運営していくことで、世界観をつくるところから、広げていくところまでを支援していきます。

 

 

—— 世界観を描くだけでは、ブランドが根付かないのはなぜですか?

ブランドが発する声よりも、個人が発する声のほうが大きくなっているからです。

 

マスメディアを活用したアプローチしか存在しなかった時代は、いかにブランドの認知を獲得できるかが勝敗の分水嶺でした。一般的なWeb広告も同じで、“振り向かせたもん勝ち”だったわけです。

 

しかし、時代は大きく変わりました。

 

SNSが普及した現在は、個人も発信者になれる時代です。​​オブラートに包まれておらず、早くて尖った個人の声は、感情を露わにしにくいブランドの声よりも大きくなります。

 

ブランド側がいかにメッセージを発信しても、早くて、尖っていて、信用に足る個人の声の前では、これまでのようにアテンションを獲得することはできません。事実として、多くの生活者は、口コミを頼りに消費活動を行うようになっています。

 

この潮流は、これからますます加速していくはずです。つまり今後は、世界観を描き、ユーザーに伝え、ユーザーに語り継いでもらわなければ、ブランドが根付いていくことは難しいのです。

 

 

自社の魅力を語り継ぐコアユーザーは誰か?

—— 広告によってアテンションを獲得する従来のマーケティングに対して、コミュニティを起点に個人の声を広げていくマーケティングは、どのようなアプローチで実施するのですか?

 

最初にやるべきは、自社ブランドのコアユーザーを特定することです。コアユーザーは、自社ブランドを世界に広げていく熱心なファンになり得るため、彼らがなぜ自社ブランドを選んでくれているのかを明確にし、それを語りたくなるストーリーをつくります。

 

みなさんがよく知るAppleを例に挙げると、分かりやすいかもしれません。

 

Appleのコアユーザーはクリエイターであり、彼らに対して、Graphical User Interfaceを採用した非常に使いやすくてスタイリッシュなコンピューターを提供する存在でした。

 

しかし、競合であるMicrosoftが「Windows 95」を発売すると、Graphical User Interfaceはアップル独自のものではなくなりました。その結果、売上が先細り、倒産危機を迎えた過去があります。

 

このとき創業者であるスティーブ・ジョブズは、“Think different”というスローガンを掲げました。「かつて厄介者として受け止められてきたが、それでも自分を信じて世界を変えてきた変革者——つまり、クリエイターたち——のために道具をつくっているんだ」というメッセージを発表したのです。

 

このメッセージをきっかけに、Appleは奇跡の復活を遂げました。コアユーザーを特定し、彼らに選ばれる理由を明確化して、彼らがアップルでなければいけない理由を説明し続ける世界をつくったからです。

 

NEWPEACEがこれから取り組むのは、Appleが実践したアクションそのものです。Appleのユーザーである“Think different”な人たちが、Appleの思想を語り継いだように、ブランドの世界観を描き、それを語り継いでいく人たちの輪を広げていきたいと考えています。

 

—— ブランドとファンの関係性を濃く、太くしていくのがNEWPEACEの役割だと。

おっしゃる通りです。「熱心なファンたちが思わず語りたくなるストーリー」をつくり、彼らのエンゲージメントを高め続けるアクションを取り続けることが、僕らが取り組むコミュニティマネジメントになります。

 

コアユーザーを特定するためのリサーチに始まり、リアルイベントの企画・運営、SNSを通じたコミュニケーションまで、取るべきアクションの数は多様です。

 

また、日本ではコミュニティマネジメントの要諦がアカデミックに明らかになっているわけではなく、バリューチェーン全体、つまりコミュニティの体制構築からビジネスインパクトまでをつなげられるプロフェッショナルはほとんどいません。

 

このような状況においては、「6curry」や「IWAKAN」といった自社コミュニティを運営しつつ、クライアントワークとして数々のコミュニティづくりを手掛けてきたNEWPEACEにしかできないことがあると確信しています。

 

 

花形職種としてのコミュニティマネージャー

—— これまで自社でも複数のオウンドコミュニティを運営してきたNEWPEACEとして、コミュニティ運営を成功させるにはどのような手腕を持った人材が必要だと感じていますか。

一言でいえば「コアユーザーの熱量を高める能力」を持った人材が必要です。NEWPEACEではこれを、コミュニティマネージャーと​​定義しています。

 

コアユーザーの熱量を高めるには、定性・定量双方からのアプローチが必要であり、ブランドへのエンゲージメントを可視化・分析しながらコミュニティ運営していかなければいけません。ワークフローをデジタル思考で捉え直す、という意味では、“ブランディングをDXする職業”と言えるかもしれません。

 

これに携わるコミュニティマネージャーは、今後の社会において非常に重要な職業になると認識しています。まだまだ認知されていない職業ですが、社会の流れに鑑みると、広告業界におけるアートディレクターやPRプランナーのように、ひとつの花形職種になっていくはずです。

 

これもAppleの話になってしまいますが、先日発表された空間コンピュータ「Apple Vision Pro」の発表会に、数名の日本人が招待されていました。招待されたみなさんは、それぞれ独自の視点でプロダクトについてのレポートを書かれています。

 

なぜ発表会にゲストを招くのかといえば、ブランドが直接語るよりも、招待されたコアユーザーたちに語ってもらうほうが、実は伝えられる情報量が多いからだと思います。これをマネージメントするのもコミュニティマネージャーの役割ですから、やはり重要なポストになっていくはずです。

 

自社コミュニティのイベントで活躍するコミュニティマネージャーたち

 

 

—— コミュニティマネージャーという職業を、NEWPEACEでやるからこその意義はありますか?

コミュニティ運営に関する知見が溜まっていくスピードは、どの会社よりも早いと思います。

 

コミュニティマネージャーを自社で抱えるブランドもありますが、僕たちはいくつものブランドのコミュニティを形成し、コアユーザーたちのエンゲージ高めていくアクションを支援しているので、やはり打席の数や情報量が違う。

 

これから需要が高まっていくであろう職種の知見を溜めながら、それを実践可能なスキルに変えていける環境は、NEWPEACEならではのはずです。

 

Tinderと開発した性共育プログラム #LOVEGROWS のファシリテーションを行うコミュニティマネージャー

 

NEWPEACEが主催するコミュニティ共創型プロジェクトCxCのイベントにてモデレーションを行うコミュニティマネージャー

スタイルを変えても、信念は貫く

—— 事業領域を拡張したことで、NEWPEACEが目指すゴールはどのように変化したのですか。

これまで点の関わりでしかなかった事業を、線で提供していくスタイルに変えただけなので、ゴールに変化はありません。これまでは変化の節目に寄り添っていましたが、今後は変化の節目以外にも寄り添う、ということです。

 

ブランディングというと、これまでは一過性になりがちでした。僕らはこの課題に挑戦し、ブランドを運用可能なものに、つまりDXしていくことで、ブランドを「エゴ」で終わらせないようにします。

 

掲げているゴールを、あえて個人的な表現で語るなら、独自の価値観を持ったブランドを増やしていきたいんです。それらを食べたり、身に着けたりすることが自己表現になるようなブランドです。

 

大衆的な価値観しか存在しなかった時代は、そこから一歩はみ出ると「変わり者」として扱われてしまいました。しかし、価値観が多様化した現在は、価値観を表明しさえできれば、気の合う仲間を見つけて連帯できます。

 

僕は価値観に正解など存在しないと思っていますが、自分の価値観を表現しながら生きていくことは人生の正解だと思っています。「僕はこのシューズが好きなんだ」「私はこのバッグに込められた思いが大好きで」と語れる人生は楽しいじゃないですか。

 

「VISIONING」を起点とするコミュニティの立ち上げ・運営支援は、そんな社会をつくるためのアクションでもあります。

 

僕たちがつくりたい世界に興味を持っていただけたら、ぜひお話を聞かせてください。あなたの価値観も仕事になる、新しい常識をつくっていきましょう。

 

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