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価値の創出と、価値の伝播。コミュニティーマネージャーがマーケティングの中心人物になる理由

顧客とのつながりが事業成長のエンジンだという認識が浸透し、買い切りではなくサブスクリプションモデルの事業が注目を集めるようになった。事業を成長させるうえでは、生活者との“継続的なつながり”をつくることが、無視できなくなっている。

 

こうした流れを受け、熱い視線が向けられているのが「コミュニティ」の存在だ。ファンの熱量を高め、継続的なつながりから中長期的な収益をつくるコミュニティは、ビジネスモデルの如何にかかわらず有効なアプローチになる。

 

「コミュニティの立ち上げ・運営支援事業」を2023年4月に新たに立ち上げたNEWPEACEのCOO / コミュニティマネージャー・村上明和の見立ては、こうだ。

 

「SNSが登場した時点で、コミュニティがマーケティング戦略の中枢になる未来は決まっていた。そして、いよいよそのタイミングがきている」。

 

自社でも複数のコミュニティを運営してきた村上が見据える、コミュニティビジネスの要諦とはどのようなものなのか——。

 

事業立ち上げの背景とともに、これからやってくる未来について考える。

 


 

NEWPEACEはVISON“ING”する組織へ

—— NEWPEACEは新たに、「コミュニティの立ち上げ・運営支援」事業を立ち上げました。どのような背景があったのですか?

私たちが提供してきた「VISIONING®︎」は、いわゆるクリエイティブアセットを届けるサービスです。クライアントが実現したい未来を言葉やロゴ、キービジュアルや動画で表現し、世界に説明する手段を提供してきました。

 

つまり、私たちが提供しているクリエイティブアセットが表現するものは、「つくりたい未来」です。言葉を選ばなければ、その時点では虚構であることもあり、描いた理想を顕現させていく活動なくして意味をなしません。

 

これまではその活動にタッチしていなかったので、少なからずもどかしさを感じる瞬間があり、ビジョンを描くだけでなく、ビジョンを浸透させていくところまでをサポートする必要性を感じていました。

 

その手段として立ち上げたのが、「コミュニティの立ち上げ・運営支援」事業です。

 

コミュニティは、まだ曖昧で形になっていない理想を小さくとも実態として顕現させ、その手触りを大きくしていく舞台になり得ます。

 

つまり、コミュニティに関わる事業は「VISIONING」の延長線上にあるものであり、私たちが提供する価値をさらに大きく、広くしていく手段なのです。

 

 

 

—— たしかに、NEWPEACEが提供してきたアウトプットには、まだ当たり前として認識されていない価値観が多くあったように思います。

今となっては当たり前ですが、例えばジェンダーギャップや環境問題に対するアクションは、かつての日本には存在しなかったものです。

 

早くからそこに働きかけていたプレイヤーたちは、そこに立ち向かう理由を説明するのに苦労していたはずで、だからこそ私たちとタッグを組んでいただけていたのだと思います。

 

「VISIONING」を通して、それらの課題解決に一定の貢献はできていたと思いますが、「コミュニティの立ち上げ・運営支援」に踏み込むことで、課題解決のスピードとインパクトを高められる。

 

ここに強い意義を感じたことが、事業範囲を拡大した最大の理由です。

 

顧客の声は、広告より強し

—— 事業を立ち上げてから数ヶ月が経ちましたが、NEWPEACEにはどのような反響が寄せられているのでしょうか。

マーケティングのアプローチとして、コミュニティを活用したいという声を数多くいただいています。

 

プロダクトが溢れかえる、つまり選択肢が無限にある現代において、価格や機能、デザインだけでは差別化が不十分です。結果的に、自社プロダクトについてブランドが声高に説明しても、顧客はそれを手に取らなくなってしまいました。

 

では、何が差別化の要因になるのか。

 

端的にいえば、顧客が発する“生の声”です。ブランドが顧客と価値観を共有し、顧客が顧客を呼び込むループこそが、他社ブランドとの差別化要因になっています。これを生み出す場所が、コミュニティなのです。

 

 

—— コミュニティの存在が、顧客と接点を持ち、接点をつくり続けるための手法になりつつあるのですね。

振り返ってみると、SNSが登場して顧客の声をビックデータとして処理できるようになった時点で、こうなることは決まっていたのだと思います。

 

自社コミュニティ(NEWPEACEが独自に運営するコミュニティ)を立ち上げた時点ではそれに気付けていませんでしたが、たしかにコミュニティの存在を重視している企業は存在していました。

 

例えば、世界15万社に CRMを提供するSalesforce社は、毎年「Dreamforce」というイベントを主催しています。「Salesforce」のユーザーや社員が一堂に会するお祭りであり、「Salesforce」を利用してビジネスを成長させた顧客をお祝いし、さらなる成長のために惜しみない後押しをします。

 

ここにSalesforce社は莫大な資金を投じているのですが、これは単なる利益還元祭ではなく、顧客との絆を深めるための重要なマーケティングです。

 

これに参加したユーザーは「Salesforce」の価値を再認識するでしょうし、営業活動に苦しむパートナーたちに「Salesforce」を薦めます。その価値を理解しているからこそ、コミュニティの形成に莫大な資金を投じるのです。

 

出典: https://www.gpj.co.jp/case-study/dreamforce-the-immersive-brand-festival/

 

 

—— コミュニティに投資するトレンドは、日本にもやってきているのでしょうか。

トレンドが浸透しているとは言い難いものの、すでに始まっている初期微動は、これから必ず大きな波になるはずです。ブランドのポジショントークが説得力を失いつつある今、最も信頼に足るのは顧客の声ですから。

 

 

データだけでは不十分、手触りが必要だ

—— NEWPEACEは、「IWAKAN」や「FLAG21」など、自社でもコミュニティを運営しています。これらは「コミュニティの立ち上げ・運営支援」とどのように関係しているのでしょうか。

自社で運営するコミュニティは、クライアントワークとしてのコミュニティの立ち上げ・運営支援を目的に立ち上げたものではありません。自分たちがつくりたい世界を形にするために立ち上げたものであり、それ単体で利益を追求していたわけではなく、それこそ事業ではなくコミュニティでした。

 

しかし、自社コミュニティは現在、事業の一部としても重要なポジションを担っています。手探りであくせくしながらコミュニティを拡大してきた経験が、そのまま会社としての提供価値になっているからです。

 

NEWPEACEは、コミュニティマネジメントを支援するサービス「comcom」を提供しており、ここに蓄積されたデータを利活用してコンサルティングをすることも可能です。

 

ただ、データをこねくり回したところで、本当に熱量のあるコミュニティをつくれるかといえば、そうではないじゃないですか。

 

コミュニティ運営の苦労は経験者でなければ理解できないし、言葉では説明できない熱狂は体験しなければ伝えられません。データでは表現できない苦労や熱狂を蓄積し続けるためにも、自社コミュニティが存在することには大きな意味があるのです。

 

—— つまり、実験台として機能している……?

実験しているというのも間違いありませんが、湯水のようにお金を使って自由に遊ぼう、という意識ではありません。

 

コミュニティに関わるメンバーたちは、コミュニティに宿る価値観に共感しており、それを広げていくために汗をかいています。それくらい本気でやっているからこそ、他社に共有できるだけのノウハウが蓄積されているのです。

 

—— NEWPEACEの自社コミュニティについて、詳しく教えてください。

NEWPEACEには、IWAKANONFAddFLAG21の3つの自社コミュニティがあります。

 

IWAKANは、ジェンダーの観点から、世の中の当たり前に”違和感”を問いかける雑誌『IWAKAN Magazine』に共感した人々が集うコミュニティです。これまでに、東京都現代美術館との共同企画として短編クィア映画会を実施したり、編集部が議論するポッドキャスト番組でのコンテンツ配信などを通して活動的にコミュニティを拡大してきました。

 

IWAKANが発する影響力は、海を超えて世界にも影響力を及ぼすようになっています。番組には海外に住むリスナーからもお便りが届くほか、『IWAKAN Magazine』の最新号は日英バイリンガル版が発売されており、イギリスやフランス、ドイツの書店から問い合わせをいただいています。

 

インディペンデントマガジン「IWAKAN」はこれまでに6号発売

 

東京都現代美術館とIWAKANとの共同企画

 

IWAKAN編集部メンバーがパーソナリティを務めるPodcast番組は、Apple Podacastの「ジェンダー」分野で日本1位を記録。10月2日からはSeason2が公開となるなど人気急上昇中。

 

ONFAddは、日本のモビリティカルチャーをコンセプトとしたプロダクトブランド「ONFAdd」を起点とするコミュニティです。代表の高木が「自身の使いたいラップトップ専用のバッグをつくる」という企画から誕生しました。

 

ONFAddのメンバーは、所属を問わず、共通の価値観を持ったクリエイターによって形成されています。共通の価値観を持った仲間なので、あるメンバーが生み出したプロダクトは、他のメンバーに向けたプロダクトにもなります。

 

こう聞くとコミュニティに閉じたブランドに感じられるかもしれませんが、2018年に立ち上げ1年でパリでポップアップを開催し、ミラノサローネへの出展も果たしました。同年には世界で活躍するファッションデザイナー・津村耕佑さんとコラボレーションした新作コレクションも発表しています。

 

当面は自社のECで商品を販売していきますが、コンセプトに共感してもらえる世界中ショップに卸していく予定です。海外のディストリビューターが展示会に足を運んでくれるなど、輪が広がってきています。

 

 

コロナ禍に生まれたシークレットパーティー「FLAG」に端を発するコミュニティ・FLAG21には、ラッパー、DJ、3Dアーティスト、映像作家、フォトグラファー、エンジニアやデザイナーなど、次世代の多様なクリエイターが集まってきています。

 

既存の流通の仕組みに乗ることを遠ざけてきたので時間はかかってしまいましたが、海外のプロデューサーから声をかけていただいたり、メジャーレーベルからオファーをいただいたりと、最近になってコミュニティが大いに盛り上がてきました。

 

設立当初から掲げていた「オルタナティブなクリエイターエコノミーを構築する」という目標の実現が、いよいよ視野に入っています。

Shibuya O-EASTで行われたFLAG21のイベント

 

 

 

マイノリティな価値観が少しずつ広がり、それを起点とするコミュニティが拡大して、世界にも影響を与えていく——。こうした過程を自社で保有しているのと、していないのでは、伝えられる情報やサポートできる幅が大きく違うはずです。

 

—— 自社コミュニティは、それ単体として存在意義を持ちつつ、そこで得られた知見を他社に活用できる意味で、NEWPEACEが手がける事業全体にも影響を与える存在になっているのですね。

おっしゃる通りです。

 

僕は自社コミュニティの存在に大きな期待を抱いており、これから先、世の中をひっくり返すほどのインパクトを生み出してほしいと思っています。それができるメンバーが揃っていると自負しているんです。

 

ここから生まれるエネルギーは世界を変えていくはずだし、そこで培った知見は、僕らのパートナー企業が飛躍するためのロイター版にもなるはず。「コミュニティの立ち上げ・運営支援」事業はまだ立ち上がったばかりですが、これから生み出せる価値には計り知れないものがあると確信しています。

 

 

 

コミュニティマネージャーの価値が激変する日

—— 今後、コミュニティを立ち上げ、コミュニティを活性化していく仕事は、需要が高まっていくと思いますか?

時代の流れに鑑みると、間違いなく需要が高まっていくと思います。とはいえ、求められる能力は非常に高度です。

 

名前を付けるなら「コミュニティマネージャー」という職種になると思いますが、価値観を共有する仲間を集め、価値観を共有してよかったと感じられる場をつくり、そこに生まれた熱量をデジタルでも表現する仕事ですから、多様なスキルが問われます。

 

ときに旗を掲げ、ときに掲げられた旗に共感し、それを伝播させていく職業です。共感力が必要ですし、場を取りまとめるファシリテーション力、共感をつなぐコミュニケーション力、クリエイティブが求められる。

 

また、コミュニティの熱量が事業にもたらすインパクトを経営陣に説明する力も求められますから、現時点で一般的に語られている「コミュニティマネージャー」よりもはるかに難度の高い職業だと思います。

 

 

 

—— 自社でもコミュニティを持ち、今後はあらゆるコミュニティの隆盛を支援していくNEWPEACEでは、この先どのような世界観をつくろうとしているのでしょうか。

ミッションに「価値観を仕事にする。」と掲げているように、描いたビジョンや、生まれ持った固有の価値観を仕事にしていける世界をつくりたいと思っています。それを実現する手段がコミュニティであることは間違いないので、それをサポートできるようになることが目下の使命です。

 

個人的な話をすれば、日本から高付加価値のブランドを生み出すこともしていきたいです。

 

世界から名指しされるブランドは、日本にはそう多くありません。これは技術力が低いからでも、デザインが劣っているからでもなく、うまく思想や価値観を伝播させていくことができていないことが原因だと思っています。

 

ここにはビジネスチャンスがありますし、世界を代表するブランドの誕生を自らの手でアシストできるということに、シンプルに心が躍るのです。

 

—— コミュニティマネージャーという職業に関心を寄せる方に向け、伝えたいことはありますか?

自分自身が心から共感できる価値観を世界に広げ、世界から指名されるブランドをつくる仕事なんて、考えただけでもワクワクしませんか?

 

私はコミュニティ事業を統括する存在でありながら、一人のコミュニティマネジャーとして、価値観を仕事にすることにも強い熱意を持っています。

 

私と同じような気持ちがあるのであれば、きっとNEWPEACEでの仕事は人生を賭すに値するものになるはずです。

 

 


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